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|オトナのスイッチ〜デュアルヒーローvs.専属メイドのスキンシップ〜
第4章 スキャンダルキス
2.ヒーローになれないヒーロー #5
「見てろって……健朗さま」
「ヒーローがヒロインを守れなくてどうする」
一瞬、きょとんとした結礼だったが。
「わたし、ヒロインですか」
あからさまに結礼の顔が綻んで、健朗は反対に顔をしかめる。
「能天気だな。少しは身の危険を感じろ」
「大丈夫です。わたしにはヒーローがついてます」
「そのわりに、ヒーローを当てにしてない」
目の前のきれいな顔がますますしかめっ面になる。
「……え?」
「ファンに絡まれてるってことをなんで云わない」
「……いま云いませんでしたか」
「今日のことじゃない。ずっとまえにあったんだろ」
「……よく知ってますね」
「ごまかすってなんだ。おまえに関することは、時間がかかるかかからないかってだけで、いつかおれに情報が入ってくる。無駄に隠すな」
健朗は最終通告のように脅迫を込めて放つ。
「はい。でも、隠していたわけじゃなくて、関係を訊かれただけでしたから……健朗さんにファンのことを悪く受けとってほしくありませんでした。わたしが悪く云っているように受けとらるのもイヤでした。関係を訊かれたときにどう答えればいいか健朗さまに訊いておけばよかったと後悔はしたんですけど」
結礼が云い終わっても健朗はしばらく沈黙していた。何か考えこむようにして結礼を見据えている。
「それとこれとは別だ。ファンは大事だ。いなければFATEはここまで来てない。けど、応援するのと、それが行き過ぎて危害を加えるのは別だ」
「加えられてません」
「それくらいわかってる。おれは、これからさきのことを話してるんだ。おれをそこら辺の甘えた坊ちゃんと一緒にすんなよ。だれよりも良識は持ってる。悪く云っていないことを悪く取るようなことはしない」
結礼がファンの存在に遠慮していることを健朗はちゃんとわかっている。
「はい。本当を云うと、健朗さまがギタリストじゃなくて商社マンだったら……それでもファンはできると思います。でも、人目を気にしたり、ファンを大事にしたり、遠慮したり、そういうことがなくてよかったのにって思ってしまいました」
パーティでの会話を思いだしたのだろうか。健朗はじっと結礼の目を見て、それからくちびるを歪めた。
「メイドの分際で欲張りだ」
「わたしもそう思います」
「結礼、ヒーローはヒーローでも、変身したらおれは手段は選ばない。それがどんだけ光栄なことか、おまえちゃんと憶えとけよ」
健朗の言葉を聞いて結礼の首がかしぐ。
「健朗さまといられるだけでも光栄です」
「よくそういうセリフが出るな。恥ずかしくないのか」
「健朗さまにしか云いません」
「あたりまえだ」
吐き捨てるように云い、健朗は、立てよ、と続けながら結礼の腋の下に手を入れて立たせた。
「脱げよ」
健朗は結礼に命令を下しながら、結礼のパジャマのショートパンツをショーツごと脱がせにかかる。すると、ふと健朗の手が止まった。
「おまえ、ケガしてる」
深刻な声に、結礼も手を止め、それから健朗の視線を追った。自分でも気づかなかった、大きな傷があるのかと思いきや、視線の先は膝のちょっとした擦り傷だ。
「ただの擦り傷です。少し疼いてましたけど治りました。……あ、転んだときの傷です。ファンの前だったし、カッコよく歩こうとしたんですけど、ちょっと緊張してました」
健朗は途中、思いつめたような顔つきになったが、結礼が説明をするとなだめられたようで――
「おまえの躰を傷つけるのは、おまえにだっておれは許さないからな」
と、いつものように不機嫌そうに勝手なことを警告した。
「はい、わたしは健朗さまのものですね?」
「生意気だ。似合わないことやるから、おかしなことになるんだ」
「気をつけます」
健朗は再び脱がせにかかる。結礼がパジャマの上着のボタンを外すのに手間取っている間に、健朗はいま着替えてきたばかりのTシャツを脱ぎ、ハーフパンツとボクサーパンツを脱いだ。
健朗は結礼の腰を引き寄せ、結礼は流れに従って健朗の腿を跨がった。ソファに膝をついた否かのうちに、胸のトップが喰いつかれる。
あっ。
大きく含まれていて軽く吸引されると、本当に食べられそうな気がした。粒を舐めるとるように舌で転がされ、急速にそこは硬く尖っていく。
「あっ……んっ、あの、健朗さ、ま……ここで?」
喘ぎながら問うと、懲らしめるようにふくらみが引っ張られるほど吸着された。最後、胸先がくちびるの間で擦られる。離れてしまう瞬間、結礼はぶるっと躰をふるわせた。
「どこだろうと一緒だろ」
このまえバスルームで性急にやられたときは脚が役に立たないほどぐったりしたすえ、結礼はベッドに寝かせられ、濡れた髪を乾かしたのは健朗だった。めんどくさいと文句を云っていたわりに懲りていないらしい。
「……違う気がします」
「一端に逆らう気か」
「そんなことはありませ――あっ」
健朗の手が無防備に開いた脚の間にやすやすと潜ってきた。
指先が中心をまさぐり、すると早くもくちゅっとした音が立つ。そうして、すっと縦に沿い、最も敏感な場所をかすめる。
何度も繰り返され、腰もとを健朗の腕一本で支えられている躰は不安定に揺らぐ。とっさに健朗の肩に手を置いて結礼は自分を支えた。そうなると、健朗の目の前に赤い実を捧げる恰好になってしまう。食べずにはいられない。本能じみた誘惑を堪える必要はなく、健朗は舌を出した。右手で躰の中心に刺激を与えながら、赤い実を下からすくうようにぺろりと舐めた。
「あぅっ……だめ、ですっ」
だめと云うのは、つらいほど快楽を得ていると弱点を晒しているようなもので、拒んでいるわけではない。健朗もそれを知っているから、ますます弱点を突いてくる。
体内から蕩けだしているような感覚がして、痙攣するように全身がぶるぶると揺れてしまう。胸先は片方に集中して、つつくように舐められるだけで、健朗はそれ以上に触れてこない。そのじれったさが、よけいに躰を濡らしている。
「健朗、さまっ」
恥ずかしいほどの嬌声に紛れて叫んだとたん、健朗はそれまでとは反対側の胸を口に含んだ。吸着されて、舌先で転がされる。
ああっ。
ひと際甲高く悲鳴が漏れて、直後、結礼はびくんとひどく腰を揺らした。
健朗の手に快楽のあとがこぼれ落ちる。果てたことはわかっているはずが、刺激がやむことはなく、口は粒を含んだまま、手は中心でうごめき、びくびくと腰が砕けそうなほど前後する。
「やっ、もうだめっ」
健朗は胸から口を放し――
「いまからが本物だろ」
と、殺生に云い、躰をずらして結礼の腰に当てた腕にわずかに力を込めた。
自分の躰なのにうまく操れず、促されるがまま腰を落としていく。躰の中心が合わさっただけで結礼はぴくりと腰を跳ねた。
あ、ぅんっ、あ、ぅくっ……。
重力に任せて躰が沈んでいき、やがて最奥で止まり、結礼のなかはすき間なく埋め尽くされた。
「ああっ、だめ!」
健朗が躰を揺らした刹那、余韻の残った躰はちょっとした刺激にも過敏に反応した。
「だめ、じゃないだろ。おまえのなか、離さないって云いたそうにおれに喰いついてる」
拒絶じゃないとわかっているのに、健朗はそう云って結礼の羞恥心を煽った。けれど、もうすでに恥もそっちのけになるほど感じてしまっている。
「健朗さまっ、明日、朝、早いので……あああっ」
云っているさなか、健朗が下から突きあげ、結礼は身悶えた。
「お、ま、え、罰は覚悟のうえで云ってるんだよな。抱いてやってるのに、おれに集中してないってどういうことだ」
「もぅ……考えるの……あっ……限界、です。だから、そのまえに……ぅ、あんっ……迷惑かけない、ように……」
「その自立心、どうにかしろ」
健朗もまた息切れしながら、乱暴なことを云う。そのくせ、結礼を引き寄せ、抱きしめた腕はきつくても繭にくるむような温かさを感じさせる。
熱い吐息が耳もとにこもって、躰をうねらせる健朗と一体化していくような錯覚に陥った。
「けん、ろ……さま……」
無自覚につぶやくと結礼の肩から顔を上げ、健朗はくちびるをすくって呼吸も合わせてくる。快楽のみが息づいて結礼はのぼせ、不意打ちで果てに飛ばされた。健朗のうめき声を呑みこみながら、自分で呼吸できているのかもわからなくなった。
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