ONLY ONE〜できること〜 #1

序章 雨の雫-TEAR-



止むことを知らないようにかぼそく降る雨は、
もう光を見ることは永遠にないと告げてあたしを包み込む。

降り積もりゆく雨はきみとの間に涙を敷き詰め、
たしかな足もとを試すかのようにおれを(いざな)う。


ねぇ、助けて。

お願いだ、応えて。


空は真っ白に(にご)り、あたしは居場所を見失った。

音は空に流れ、おれの言葉はまっすぐに届かない。


必要だと云って。

見つめる瞳に気づいて。


想うことの行く末にこんな別れがあるのなら、ずっと独りのままがいい。

どんなに哀しく廻り合っても、拒否する理由もためらう理由も取るに足りない。


怖くて苦しめた。

守れない約束をした。


知らなかったの。

わかっていたんだ。


あなたが求めていること。

きみがすべてであること。


見守られているのに気づかなくても、あるがままのあたしをただ待ち続けてくれた。

見返りの約束がなくても、おれのわがままに求める涙を(さら)けだしてくれた。


あなたのためにできること。

きみのためにできること。



ONLY ONE



愛すること。



NEXTDOOR