CHERISH〜恋綴り〜

繰る糸-贈りもの-


 講義が終わったあと、大学から乗り合わせた二台のタクシーがミザロヂーのまえに止まった。雨の降るなか、次々と八人、タクシーから降りては小走りで店の軒下に入りこんだ。
 ふわふわとした色彩の軽やかな装いからシックな装いまでと華やかな様が集う。彼女たちはさざめきながら同じように髪についた水滴を払い、店のなかに入った。
「いらっしゃいませ。遠野さまですね。あちらにご用意させていただいております。どうぞ」
 名乗るまでもなく店員が察して、奥の席へと姫良たちを案内した。まだ六時をすぎたばかりで、尚且つ平日ということもあり客はそう多くない。
 ミザロヂーは義母の早苗がオーナーで、遠野姫良の名はまかり通っている。早苗とは打ち解けきれずに会うことは少ないけれど、こうやって姫良が店を利用することを彼女は喜んでいると父は云う。

「姫良の誕生日ってばいっつも雨なんだから」
「しかたないでしょ。梅雨なんだし」
 席に着くなり、友だちふたりが会話を交わすと笑い声が広がった。このふたりは毎年のように同じ会話を交わしている。
 今日、六月二十四日は姫良の誕生日だ。
 高校から始めた誕生会は五年目で、カレシを差し置いても同じメンバーで集うのが暗黙の了解となっている。
 姫良は男の人と付き合ったこともなければそういうつもりもなくて、ほかの子みたいに、自分の誕生日はカレシとゆっくりすごしたいのに、などと渋ったことはない。強いていえば、ちょうど三年まえに会った“哲ちゃん”とは付き合っている。が、男と女という関係ではない。
 姫良は少し身を乗りだした。
「うっとうしいから役に立ってるんでしょ。こういうお祝いで楽しくするためにわたしの誕生日はあるの!」
「出た、姫良の超自己中心ご都合主義!」
 姫良の主張に応え、知香(ともか)が叫んでからかった。
「姫良についていける男の人っているのかしら」
「いるじゃない。哲ちゃん」
「あ、そっか。でも哲ちゃんて定職ないんだし、姫良の生活レベル、維持できないでしょ」
「みんなが思ってるほど贅沢してない」
「そのあたり、大丈夫よ。わたしは哲ちゃん、タダ者じゃないと見てるんだけど」
 姫良を差し置いて知香が口を挟み、話は現実化していく。
「知香、だから、哲ちゃんはそんなんじゃないって云ってるでしょ」
「もったいない。強面だけど、イイ男じゃない。なんだかまっすぐで大事にしてくれそうって感じするのよね」
「ああ、そういう雰囲気はあるよね。悪ぶってるけど……うわぁ」
 知香に賛同していた中学からの友だち、新宮稚沙(にいみやちさ)の発言は尻切れトンボになり、次の瞬間には目を見開いて感嘆の声を漏らした。姫良の背後を見て、うっとりしたようなため息をつく。
「何?」
「ん。かなーりイイ線いってる男発見」
「え、ハードル高い稚沙が云うって……」
 姫良の隣に座った知香が云いながら後ろを向く。
「いま振り向かないでっ」
 稚沙が云ったときはすでに時遅く、姫良側に座っていた四人ともが振り向いた。

 中央にある四人掛けのテーブルにカップルが座り、その男性の、たまたま店内を見回していただろう目と姫良の目がまともに合った。そう思ったのはみんなもらしく、あ、と小さく声をあげながら決まり悪そうに正面に向き直った。
 ただ姫良はなんとなく見入ってしまった。それにやっぱり相手の目が逸れない。
 表情は冷ややかとしか表現しようがないほど動かず、姫良はいつになく戸惑う。目も鼻も口も大きくはないけれど、一つ一つが意思を持っているようで、おそらくはだれもに一目で印象づける。二十代半ばをすぎて見え、バランスよく整った顔立ちとは別のところで何か惹かれた――というよりは気になるといったほうが正しい。
 なんだろう。

「姫良?」
「稚沙、席変わってくれない?」
 怪訝そうな呼びかけに、姫良は逸れない視線から半ば無理やり目を引き剥がして目のまえの稚沙に頼んでみた。一瞬、目が点になった稚沙が吹きだすと同時に笑いが満ちた。
「信じられない。露骨すぎない?」
「んー、ちょっとね」
「カノジョ連れだよ? たぶん、だけど」
「そういうのはいいの」
「わお!」
 姫良の発言は目的を認めたようなもので、半信半疑だった彼女たちから歓声があがる。
「姫良の誕生日だし、ここは譲らないとね」
「じゃあ、姫良の初恋に乾杯から始めよ」
「違うよ。二十才の誕生日!」
「いいじゃない」
「そうそう。姫良のそれ、お酒だからね。知香に続いて二人目の大人バースデイ」
 彼女たちは勝手に盛りあがってグラスを掲げた。姫良は早々と抗議をあきらめて、目のまえに置かれたスマートなカクテルグラスを持った。
 乾杯のかけ声から和気あいあいと始まった誕生会は、騒々しいくらいに楽しく過ぎていく。

 その間、姫良は度々稚沙の向こうに視線を送った。姫良たちのテーブルを基準にすれば、四人掛けのテーブルは斜め向いていて、彼がよく見える。目が合うことはそうない。つまり、たまに彼の視線が姫良を向く。姫良というよりはこのテーブルをたまたま見やるだけなんだろう。すぐに視線は流れる。
 ふたりを眺めていると、喋っているのはほとんど彼女で、彼が口を開くのはめったに見かけない。カノジョじゃないかもしれないと思うほど、表情が緩むこともない。
 その彼女は、長いストレートの髪に前髪を重たく下ろしているけれど、それが野暮ったく見えないほどの美人だ。きっと仕事も手際よくこなせるんだろう。
 ふたりはいかにもお似合いだ。

   *

 紘斗が煙草を一本取りだすと、向かいに座っている美春が、テーブルに置いたジッポライターに手を伸ばしてきた。
「いい。自分でやる」
 手を軽く上げて美春をさえぎった。美春は手を引っこめ、ほんのわずかに肩をすくめた。煙草に火をともし、一息吸ってすぐ吐きだした。そのとき、店の奥にある長テーブルで歓声が沸いて、思わず目を向けた。ここに座って何度目なのか、視線のさきの彼女と目が合った。
 肩より少し長い髪がふわりと顔を縁取っていて、はしゃいでいる姿は一見勝気な感じもするが、全体的に繊細なイメージを受ける。
 何か声をかけられたようで彼女が横を向く。片方だけ耳に髪をかけていて、その剥きだしの耳はあどけない。
 一目見た瞬間に幼い姿が重なった。保証はない。
 昔、東京にいた頃はそれがあたりまえだったからこそ意識もしなかったが、福岡から上京してみると、東京は溢れんばかりに人が多い。こんな限られた空間で廻り合う確率など、その数値は求められないほど低いはずだ。
 感傷を振り払うように紘斗は首をひねり、煙草を灰皿に押しつけた。

「今日はうるさいわよね? あの子たち、ここの常連も常連。どこかのお嬢様ばっかりらしくて。お気楽よね」
 紘斗のしぐさを違うように解釈したらしい美春が、彼女たちを見やった。
 前田美春は同期で、一年まえ、営業部の内勤業務から社長秘書室へと抜擢(ばってき)された。仕事ぶりの良さゆえにそうなったわけだが、その出世は美春にとってさらに自信になっているようだ。いまの云い方からすれば、お嬢様という立場をうらやましがっているのではなく、歯牙(しが)にも掛けないといったふうだ。
 確かにはしゃぎすぎの感はあるが、うるさいというほど声が大きいわけでもない。紘斗は美春から再び彼女へと目を移した。
 お嬢様。美春が云った言葉に保証が一つ増える。
「乾杯やってたし、なんかの祝いだろ。気にするほどじゃない」
 美春が驚いたように紘斗を見返した。
「吉川くんはああいうの嫌いかと思ってた」
「思いこみだな」
 同期とはいえ、美春と親しかったわけではない。二カ月まえにあった営業部の新人歓迎会で、営業部出身という美春も招待され、それから世間一般でいうデートをする機会が増えた。(もっぱ)ら積極的なのは美春で、紘斗は流されているにすぎない。こっちから誘うことはなく、美春もそこは(わきま)えているだろう。
 紘斗が肩をすくめたそのとき、携帯電話が震えだした。開くと、営業部からの発信だ。
「会社からだ」
 美春に断りを入れ、紘斗は席を立って化粧室のほうへと向かった。

 男性専用のドアのところで通話ボタンを押した。新人からの電話で、ロンドンからの問い合わせに答えられないでいると云う。
「急ぎか?」
『手続き上、一時間内に返事が欲しいそうです』
 夕食を取るのに出てきただけで、このあとまた会社に戻ることになっているが、ゆっくりもしていられないようだ。
「わかった。向こうには返事を間に合わせると伝えてくれ。……いや、課長にはおれから連絡する」
 紘斗が話している途中、当然ながら予告なく彼女が化粧室のスペースに入ってきた。彼女は女性専用の化粧室に入るわけでもなく、何かを待つようにドアのまえに立っている。
「ああ、チェックだけしておけ。十五分後にはそっちに帰る」
 電話の向こうで、わかりました、と安堵した声が答えると紘斗は通話を切った。

「あなたの名刺、くれない?」
 携帯電話を閉じるなり、とうとつに彼女は口を開いた。お嬢様そのもののずうずうしさで不躾(ぶしつけ)極まりない。紘斗は目を細めて彼女を見下ろした。
 紘斗の(とが)めに気づいたのか、彼女はばつが悪そうに目を逸らし、それからまた紘斗を見上げてきた。
「わたしは遠野姫良」
 名乗る声が耳の奥で木魂した。
 ――良いお姫様って書きます。
 過去のシーンが鮮明に脳裡に浮かぶ。
 姫良。
 思わず声に出しそうになった。めずらしく動揺じみて焦る。
 そういう紘斗におかまいなしで、彼女は手に持っていた小さな紙切れを差しだした。
「付き合ってほしいとかそういうんじゃなくて、また会えたらと思って」
 率直に云う彼女から目を落とすと、紙には姫良の名と携帯番号らしき数字が並んでいる。
「こういうことをいつもやってるのか?」
 自分でも驚くほど声は険しい。
「ううん。はじめて」
 紘斗と対照的に、姫良は紙を差しだしたまま、あっけらかんと首をかしげた。
「名刺、待ってるんだけど」
 わがままっぽい云い方には怒るより、ませた口調が重なり、あのときの気持ちを紘斗のなかに甦らせた。
 僕が大人だったら――。
 それでもためらった。
「今日、わたしの誕生日なの。プレゼントは名刺でいいから!」
「おれには関係ない」
 素っ気なく云うと、姫良は笑った。
 笑うシーンなのか? 紘斗はそう思いながら眉をひそめる。
「んーっと、これから関係つくればいいんだし。それに、プレゼント欲しいなって思ったの、今日がはじめてなんだよ?」
 姫良はめげることなく、逆におもしろがって勝手な理屈を押しつけようとする。
 いま姫良の笑った顔が、壊したくないと思った笑顔とは違うことに気づき、考えが(まと)まるよりさきに手が動いた。
 即座に姫良の手が伸びて、シャツの胸ポケットから取りだしたばかりの名刺入れを奪う。気が変わりそうなのを悟っているかのようで、加えて猫みたいなしぐさに紘斗は曖昧に口を歪めた。姫良はそれを笑ったと受け取ったようで、滑稽(こっけい)な様で首を傾けた。
「いい?」
 紘斗は肩をそびやかし、姫良は丸ごと出した名刺を名刺入れに戻してから紘斗に返した。それから紘斗の名刺をまじまじと見つめている。

「貴刀って……?」
 それほど驚くことかと疑問を持つほど、姫良はびっくりした目を紘斗に向けた。
「ここのすぐさきにある。二十才なら貴刀くらい知ってるだろ」
 姫良の目がさらに見開く。
「わたし、二十才って云った?」
「云った」
 迂闊(うかつ)だったと紘斗はとっさに押しきる。いや、隠す必要があるのか? ふと、自分に問いかけてみたものの、結局はそのままにした。姫良は首をかしげながらも追求はしてこない。それよりも名刺のほうが気になるようで、また手もとに目を下ろした。
「名前、これなんて読むの?」
「……ヨシカワ、ヒロト」
「ひろと!」
 気づくだろうか。そう思いながら、(はや)っているのか期待しているのか、表現しがたい気分で名乗ると、返ってきたのは屈託のない笑い声だった。気づいたわけではなさそうだ。どういうことなのかわからないが、単純に驚いて、そしてうれしそうにも見える。
 それから姫良は持っていた携帯電話を開いた。
「ケータイの番号教えてくれる? 会社に電話したら困るでしょ」
 茶目っ気たっぷりに訊かれ、紘斗は首をひねりながら、半ば観念して番号を云った。姫良にというよりは自分に負けたのかもしれない。
「よかった。またね!」
 姫良は呆気なく化粧室のまえから出ていった。

 あとを追うように化粧室を出ると、姫良がちょうど席に着くところで、同時にテーブルが笑い声に湧いた。たぶん自分のことだろうが、そんなことはかまわない。
 覚えていないのか。
 繋がりをつくってしまったことへのちょっとした後悔とともに腹が立たなくもない。
 椅子に落ち着いた姫良がテーブルに両肘をつき、笑いながら顔のまえで手を合わせる。
 相変わらずの小ささに、どれだけ姫良が幼かったかということを思いだし、紘斗は説明のつかない複雑な心境でため息をついた。

   *

「姫良、どうだった?」
 テーブルに戻るなり、ワクワクした眼差しが姫良に集中した。
「ケータイ番号ゲット」
 そう報告すると、ケタケタと笑い声が広がる。
「抑えて! 迷惑だって追いだされるよ」
「だって、姫良が略奪愛だなんて想像できないじゃない」
「だから、そんなんじゃないってば」

 感じたのはそれ以上の何か。偶然なんてない。そう断言したいほどの偶然。
 いまになって震えだした手は緊張のせいなのか、姫良はごまかすように握りしめた。

 それからそう時間がたたないうちに稚沙の背景が動いた。紘斗が独り席を立って店の出入り口に向かう。
 そういえば、電話でどこかに――会社に帰るようなことを云っていた。
「ごめん、ちょっと」
 口早に云って姫良も席を立った。ほぼ同時に紘斗のカノジョが立ちあがり、そのあとを追って様子を見ていると彼女は化粧室へと入っていく。
 紘斗は精算をすませて外に出ていき、姫良はすかさず閉まりそうな扉を抜けた。
 彼女を待っているのか、紘斗はちょっと進んで軒下の端のほうで立ち止まる。

「紘斗! ありがとう」
 いきなりで声をかけたのに、冷めた目が驚きもせずに姫良を振り向いた。
「さっきお礼を云うのを忘れたから」
 付け加えると紘斗は肩をすくめただけで、呼び捨てにしたことを咎めることもない。
 姫良は降り続いている雨を見上げた。雨はなんとなく好きじゃない。一度雨に濡れて肺炎になったことがある。小さい頃のことであり、そのときの記憶もないけれど、そのせいかもしれない。でもいまは――。
 姫良はまた紘斗を向いた。
「雨は好きじゃないけど、今日、好きになれた気がするの」
「酒、飲みすぎるな」
 会話はかみ合っていなくて、そのうえ、たかが忠告なのにうれしい。
「うん、ありがとう。あとで名刺入れ見てね。じゃあ紘斗、またね!」

 姫良は返事を待つことなく、彼女が来るまえにと店内に戻った。ドキドキが止まらなくて入口の近くで立ち尽くしていると、その脇を彼女がすり抜けていく。
 独り占めなんてできなくてもかまわない。自分がした突拍子のない行動の理由もわからない。
 ただ、糸が切れそうなくらいに細くても、繰り寄せきれないくらい長くても、繋がっていられたら、とそう感じた。

   *

「おばあちゃん、今日の誕生日のプレゼント最高だったの! 紘斗に会ったんだよ」
 誕生パーティの帰り、病院に寄って祖母に報告した。
「また猫を飼ったの?」
 祖母は微笑みながら弱々しい声で問いかけ、姫良は笑った。
「違う。人の話。吉川紘斗って人に会ったの。名前は知らなくて、そしたら“ひろと”って云うから驚いたんだけど。それにパパのところで働いてて……おばあちゃん?」
 姫良は途中で言葉を切った。祖母の表情がいつになくはっきりとして驚きに満ちている。
「どうかした?」
「その人の名前、吉川……?」
「吉川紘斗、だよ?」
「そう」
 ためらうような返事だ。
「どうかした?」
「なんでもないわ。それでどんな人だったの?」
「んーっとね、見た目は無愛想な感じ。でもなんとなく話したくって。プレゼントちょうだいって云って、無理やり名刺をもらったんだけど。それで紘斗って名前にびっくり。すっごい偶然だと思わない? わたしの勘て()えてるよね! あ、そういえば云った覚えないのに、紘斗はわたしが二十才って知ってたの。気づかないうちに云ってたのかな」
「そう」
 今度の『そう』はどこか満足げでうれしそうに聞こえた。
「おばあちゃんよりわたしのほうが早くボケちゃってるかも」
 首をすくめてふざけると、祖母は小さいながらも可笑しそうに声を出して笑った。
 そんな祖母はいつになく元気そうに見える。
 それもまた姫良にとってかけがえのない誕生日のプレゼントだ。

 消灯時間の九時まで病院にいて、それから姫良はマンションに帰った。嫌いな病院でも、人がいるだけマンションよりマシかもしれないと思うこともある。どんなに贅沢な部屋でも独りは味気ない。慣れたけれど。
「紘斗」
 声に出してみた。
 今日はさみしくない。
 呼び慣れた名がごく自然に音に乗ったように、いまは独りでも素直に笑えた気がした。

   *

 しっかり降っていた雨も会社を出る頃には小雨に変わり、そのなか、紘斗は傘も差さずに駅から走ってマンションのエントランスに入った。エレベーターに乗り、シャツについた水滴を払っていると、胸ポケットの名刺入れに触れる。
 それで、名刺入れを見て、と云われたことを思いだした。
 開けてみると名刺のなかに紙切れが紛れこんでいた。すぐに見当がつき、紘斗は笑みともため息ともつかない息を漏らした。紙切れをそのままに名刺入れをしまう。
 何か一つ、自分のなかで落ち着いた気がした。

 家のなかに入ってリビングへ行くと、部屋の片隅に真っ白の猫が(うかが)うように紘斗を見る。
「キラ」
 呼びかけると近づいてきて足もとに纏わりつく。
 おまえと会った。
「やっと」
 無意識につぶやき、そう口にしたことに気づいてごまかすように首をひねり、紘斗はキラを抱きあげた。


 あの時の糸がここまで繋がってきたというのなら。
 僕が大人だったら。
 大人になったいま、おれはそのさきの答えを探しだせるんだろうか。

− The End. −

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