長編〓2016.2/22完結
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犯罪事件において、被害者と加害者を主人公にして出会ってはいけなかった恋がテーマ。
書くきっかけは、漫画家M実子さんの某漫画が打ち切り?で完結していない消化不良を解消したかったため。
漫画については被害者と事件に携わった刑事の娘だったかと記憶。
同じ事件でも、被害者側からと加害者側からでは違って見えることもあるわけで…というところも書きたかった点です。
また終章にての、死者は喋らない、という紫己の言葉。
夢の中に出てきても、目覚めてみればひと言も喋っていない。
これはわりと現実に言われていることかもしれません。
終わってみれば聖衣子がいちばんかわいそうな役回りになってしまいましたが、得てして犯罪の構成物は愚かさと理不尽さと哀しみ、そして切なさだと思うので、そういう意味で物語の性質を保てているかと。
一方で、同じ母親でも友里花はまったく身勝手な人。
紫己は一般的な愛情のもと育ったわけではないので、自分で怖いと云っていたようにこれから朱実とどのような未来が待っているのか、文学だったらそこを突き詰めるところかも、と思いつつ、恋愛小説なので、めでたしめでたし、でよろしいかと。
そのなか、朱実と聖衣子の和解はあえてさせていません。
大団円には抵抗があり、そこはちょっと辛めで終えました。
母親が子供をかばって…という気持ちはよくわかりますが、長い目で見たとき、公に罪を償わせないというのは結局、いつまでも引きずってしまって子供のためにはならないような気がします。
最初の頃は、真実は何か、というところで二者択一、悩んでました。
物語を進めていくうちに見えてくるだろうと思いながら、結果は読んでのとおり。
結末については、ふたりを復讐と愛で繋いだまま終わるのが目標だったんですが、結局は愛と愛で終わったかな、と。
朱実に同情の余地を持たせたかったし、あとは紫己を崩したかったので。
今回はノーマルにふたりですが、閉鎖的(二人だけの世界)なダークハピエンはやっぱり好きです。
時間かかるなーと思いながら書き進めていましたが、終わってみれば、もう一つ連載しているわけで、書くペースは変わらなかったという。
見切り発車、絶対完結できるという根拠のない思い込みのもと、無事に完結できて安堵。
文中意
アルカイックスマイル…アルカイック美術で彫刻に用いられた不自然な微笑
カリギュラ…戯曲。ローマ皇帝(狂気的独裁者)